最近、シリンジを使う方は減りましたが、実に意外な事に中間型・混合型・持続型の白濁した懸濁型インスリンのバイアルは使用前に振らなければならないという事が知られていなかったりするのでございます。注射方法等の操作については殆ど変わりませんので割愛いたします。
「振る」と言いましても、タテにしゃかしゃかと振ってしまいますと、気泡が混じってしまい、正確な容量が注射されなくなりますのです。という訳でどう「振る」のかをご説明致しますために図解致しますと、以下のようになります。
←のような手つきで、両手を合わせて、その間にうバイアルを挟み、ころころ・・・とゆっくり5〜6回程度、転がすようにして混ぜる。
(または、バイアルをゆっくり逆さにする動作を繰り返す方法もありますが、早くし過ぎますと気泡が入ります。)
そして・・・・、その後の操作はいつものようにしていただくわけなのですが、できるだけ手早くしていただいた方が良いです。←バイアルから指示された単位の数字の所より少し多めに吸い上げて、指ではじいて、気泡を抜いて・・・の作業を出来るだけ手早くしないとイケナイのでタイヘンですね〜。(折角作成した図がありましたので、いらないような気がしますが、UPしました。)
←ここの所で気になるのですが、何回か患者さんのインスリン注射シーンを観察する必要があったりするのですよね。使い始めの頃は気を付けていても、血糖コントロールが狂っている患者さんの場合、上記のバイアルを振ることから始まって、皮膚を軽くつまんで注射部位を緊張させてから針を刺すとか、通常のインスリン注射針の場合は針の角度は皮膚に対して薄い皮膚では45度、厚い皮膚では90度という角度等、また、ほぼ針の根本まで刺さないとイケナイのが刺していなくて、皮内注射状態になり、製剤の吸収が遅くなり、折角のインスリンが功を発揮せず、コントロールが狂うという事もあるのでござります。注射器のピストンを押して3〜5秒でインスリンを注射しなければなりませんが、割とすぐ抜いている患者さん、注射をし終えたら、皮膚はもまずにアルコール綿で押さえる程度で良いのに、ついついモミモミをしてしまう患者さん等、「あッ!ここがおかしい!!」が良く見付かります。そこを改善すれば、コントロール良好に成り得る事があるのです。要!観察なのです。
服薬指導で注射の時間に行き、目の前で実演していただきますと、血糖コントロールの狂う患者さんの場合は大抵、注射方法の操作の内の何個かがおかしかったりという欠点が見付かることが多いです。
(ペン型の場合)
カートリッジを用いるペン型の場合、単純にこの1つの操作が抜けているだけで、血糖コントロールがメチャメチャになったという例が多々見受けられました。しかも、医療関係者の中にも知られていないという事実もございましたのです。本当にたったこれだけの操作なのです・・・。ヒドイぼけ写真ですが、ここでは「ぼ〜っと懸濁している様子」だけに注目をしてくださいね。時々、懸濁型をもらうのが今回初めてだったのか、若しくは、今までしっかりよく見ていなかったのかで、「白いカビが生えてる!!」とか、「腐ってる!」と慌てて窓口に戻ってこられる患者さんがおられるのであります。こういう事があるという事はカートリッジの使用方法をちゃんと指導されていない証拠です。意外と注射指導でも「振る」事を忘れないようにと言いますと、縦にフリフリして気泡いっぱいで却って無意味になっていた症例もありました。
1.ペン型インスリン注入器のキャップを外す。
↓
2.注入器を以下のような方法で一様に白濁するまで手首の運動をするようなつもりで10回以上ゆっくり振ってください。→
※説明書によってはあまり手首が曲がっていない図もあります。↑
カートリッジの中にガラス球が入っていますので、これで良く混和できる訳です。
↓
3.ゴム栓(ペンニードル又はマイクロファインプラス等の注射針を装着する部分)消毒します。
↓
4.注射針をつける
↓
5.注入器の針のほうを垂直に上にして2単位の空打ちをします。(この空打ちの時に最後までしっかり押していなくて、多めに注射されていた方もおられますので、注意してください。)
↓
6.単位合わせダイアルで注入単位数を設定(ノボレットの場合はキャップを付けて回転させて設定します。)
※2〜6迄の操作をできるだけ手早くしないと、インスリンの結晶部分が沈殿してきますので注意してください。
☆オマケ☆
ペンニードル等の使い捨て注射針をキケン無く処理できる箱、「ペンニードルボックス」というシロモノが創新社
03-5470-9090より市販されております。
また、医療機関によっては後に懸濁型への移行を考慮し、透明な速効型でも「振る」という操作を入れているところもあります。
※この文書・画像は物の怪姫が作成したものです。個人の勉強目的でロードする以外での使用・複製に関しては必ず、メールにて承諾を得て下さい。ASCへの転載は転載許可を得ております。